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別れ 

昨日は、92才の老婆と別れた。
約7年前に瀕死状態で担ぎ込まれた老婆は、膿胸だった。
やっと軽快したが、全盲で寝たきりだった。
東京弁でしゃべるから、しゃれた感じがする。
長谷川和夫の着付師だったと言う。
古びたアパートの一室に暮らしていて、身寄りも無いのに・・
あれから、7年間生きてきた。
それは、大家さんが家族同様に食事を運び、食事介助をしてきたからだ。
でも、衰弱が始まり、四肢の拘縮が進行し、食事が入らなくなって・・やせこけてきた
この前はあごが外れてしまって食べられなくなって入院した。
整復したが、食事は相変わらず入らず・・こんな老人に大家さんは自然な死を望まれた。
入院して自然に看ること・・
点滴もせず、鼻から管も入れず、まして胃ろうなども作らず・・わずかに食べること・・のむことで看てきたら・・
ついに昨日の昼間、息をしてませんとその付き添いの大家さんがやってきて・・看取った。
静かな穏やかなソクラテスのような顔をして老婆は横たわっていた。
僕は死亡時間を告げ・・・お別れをした。

今日は先日誕生日を迎えた96才の老人が亡くなった。
仕事の帰りに携帯が鳴って、家族から今息を引き取りましたと連絡が入った。
すぐに引き返して、往診車に乗り換え、往診すると15人位の家族親戚がみんな顔をくしゃくしゃにして泣いていた。
数年前までは大きな老人でいつも大声で怒る人だったけれど・・・
今は小さな身体で顔はしぼんでしまって、青白くなっていた。
息をせず眼を閉じているが、苦痛にゆがむ顔ではなかった。
『午後8時21分ご臨終です』と告げた。
また、今日も別れがあった。

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この記事を書いた人

コメント

コメント一覧 (3件)

  • お疲れ様。
    患者さんの数だけ人生を見ている
    レオンさん、ドアの向こうに一番近い人の一人ですね。
    送って行く人を何年するのでしょうね。
    あなたがいるから、患者さんは楽にドアの向こうに行けるのでしょうね。
    体だけは気をつけてくださいね。

  • いつも、コメントありがとうございます。
    時々、般若心経を唱えながら・・生きています。
    大きな力で生かされているし、またいつかみんな大きな力の中へ帰って行きます。
    空ということばは難しいですが、ようやくわかりかけて来た感じがします。
    出会いもうれしく、また今日もどんな患者さん、どんなドラマに出会えるか・・考えます。
    その人の物語を大事にして、仕事をしていきたいと思います。
    池田さんと知り合えたことも嬉しいことです。
    今を大事に生きていきましょう!

  • 今生きている部屋のなかで
    ご一緒したと言うのは例えネットの中でも
    これは凄いことなんでしょうね。
    人はそれぞれ、生きている部屋(時代空間)が違いますもの。
    その中で、我々はおつきあいさせていただいているのでしょうね。
    そしてあなたは、自分の部屋と共有する部屋の住人があちらの部屋に
    移る手助けをしています。私は人生を横から見るようにしております。
    生を左のドア、死を右のドアとして空間を人生だという風に見てます。
    この部屋に入ったら最後、戻る事は出来ません。
    人は時々忘れるのですね。この普遍的な事実を。
    そしてレオンさんは多くの人が右のドアにいてそのドアを開けるときに
    手助けをしているんですね。
    手助けをしなくても勝手にドアを開けて行く人もいますが、
    多くの人はあなたの様な人が必要なのですl。
    でも体力も知力も必要なお仕事ですので。時々
    左のドアの方を見るのも力になるかと思います。

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