今の病院へ勤めだした頃から・・
病院のすぐ前に、団子屋さんがあった。
柏餅とかきなこ餅とか赤飯とかいろいろ店先に並べてあった。
僕は餅や赤飯が好きだったし、しばらくは単身赴任だったから、何度か買ったことがあった。
店の奥では家族で餅やらあんこを作っているのが見えた。
その後・・・この家族のかかりつけ医になろうとは・・・
病院の近くはみんな患者さんばかりだ。
このお団子屋さんも、おばあちゃん、奥さん、そしてご主人とも係わることになった。
おばあちゃんは在宅で看取った。
奥さんは膀胱癌を発見して市立病院へ紹介した。
そして、今回はご主人の肺気腫が末期状態となって係わった。
もう、市立病院でもどうしようもないと言われ、在宅を勧められたからだ。
しかし、病弱な妻には介護が重すぎた。
それで、目の前の病院で療養されていた・・
今日、この団子屋さんのご主人が亡くなった。
肺気腫の末期で肺炎を併発したからだ。
往診すると、いつも、笑顔でハイタッチし合うのが習慣になっていた。
これを見て、奥さんは笑っていた。
夜は一人になるから、不安でうなることが多かったが、妻が食事介助にやってくると笑顔になった。
そんな彼が・・今日の午後家族に見守られながら静かに息を引き取った。
もう、人工呼吸も昇圧剤も使用しなかった。
彼は・・・笑顔のままで死んだ。
夏の終わりに・・店先で屋号の旗が風に揺らめいていた・・

コメント
コメント一覧 (3件)
いつものようにハイタッチで逝ったんですね。
みんなかくありたいです。
私も貴方のような人から看取って貰いたいです。
沢山の思い出や感動を持って、最後に屋号の旗を揺らし、レオン先生にお礼を伝えて逝かれたのですね・・・☆
長く地域に根付いて医療をしていますと・・こういう場面になります。
出会いと別れ・・人はみな老い、病に倒れ、亡くなっていかれます。
決まったように・・誰もみな同じ。
誰だって逃れようのないこと。
苦しみは短い方がいい
楽しみは毎日あったほうがいい
生きているということは笑うことや泣くこと、感動することだって思う。
みんなの関係が大切なんですね。
今頃、三途の川を笑顔で渡っていることと思います。
ハイタッチした後、手をなかなか離してくれないのもわかるから・・黙って握り返してあげるんですよ。
熱のせいでいつも掌は熱かった。