livedoorblogより移転しました。

静かな闘病

彼は過去に2回の脳梗塞をしていて、左半身の軽い不全麻痺があった。
とても優しい感じのかわいい奥さんに連れられてやってきた。
81才であった。
本人は、顔色も良くいつもにこにこしている。
難聴があるが、大きな声で言うと理解は良くできるようだった。

便通異常があるから、奥さんが心配して連れてきたというのが主訴であった。
心房細動があり循環器専門医に、脳梗塞のフォローは神経内科専門医に診てもらっていた。
便通が気になるというので、診療所にやってきたようだった。

診察しても、特に変わりはない。
便潜血検査してから大腸検査とも考えたが、有症状であり、過去に一度も消化管は検査したことがないと言うし、検査を希望されている様子なので大腸内視鏡と胃カメラの両方をやることにした。
高齢でもあるので検査入院で行うことにした。 

検査結果は、大腸は異常なしであったが、念のために行った胃カメラでは、萎縮性胃炎を背景に胃がんが見つかってしまった。
初めての胃カメラで、ピロリ菌が原因と考えられる進行胃がんであった。
幸い、まだ転移は見つからなかった。

結果を外来診察でありのまま説明した。
奥さんが、暗い顔になった。
本人も少し暗い顔になったが、でも笑顔であった。
奥さんは、『この人も私も覚悟はできています。もう年ですし、心臓も麻痺もあるし・・このままで結構です・・』と弱々しく言われた。
『でも、転移は無さそうだし、お元気なので手術の検討はしてみるべきと思います。一度大学病院を紹介しますので行ってきてください。その上でよく説明を聞いてそれで治療しないことに決められても良いですし・・』と説明した。

そうやって、2週間が過ぎ、昨日診療所にやってこられた。
本人は以前より顔色が良く、便通も良くなったと言われ、奥さんも何か晴れ晴れとした表情で来られた。
一体、何があったのだろうとよく聞いた。
そうすると、二人の娘が大学病院の診察に付き添ってくれて、循環器内科、神経内科、眼科、諸検査を終えて詳しい説明を医師から聞いて、その分厚いメモを見せてくれて、『私も主人も頑張って手術を受ける気持ちになりました!』と言うのだ。

なんだかとてもうれしくなった。『良かったね!』と言った。
元気に帰ってきて欲しいと願った。

この記事が気に入ったら
いいねしてね!

よかったらシェアしてね!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次