医師にとって、死の準備教育(DEATH EDUCATION) とは
急性疾患で診る患者さんや自分の専門領域の患者さんに対して、死について話し合う場面は普通にはあり得ないこ とである。
しかし、かかりつけ医としてその方を何年も十年以上も診てきた主治医にとって、その方と死について語り合うことは重要であり自然なことである。
いつかくるその時にどう死と向き合うか?どういう死を迎えたいか?を、話し合うことは主治医としての大切な役目と考える。
家族と話し合うような場面以前に、このようなことがなされていなければならないだろう。
治る見込みの無い病気や病状に至る前に、老衰と言えるような衰弱が訪れる前に、あるいは記憶が失われ認知症になってしまう前に、このような話を持ちかけてみる必要がある。
患者さん自らが言われることもある。
『先生、私はいつまでこうやって生きていられるんやろう? 死ぬときはポッ クリ楽に死にたいわ~。 先生、その時はそうしてくださいね~。』と。多くの患者さんからそのようなことを言われる。
死の準備教育とは、あの有名なアルフォンス・デーケン氏が言った言葉である。
【“死の準備教育”は健全な死生観を与え、死を知るこ とで命の重みを理解し、生きる喜びと感謝の心を育む】
医師は、正確な診断をし、適切な治療をする職業と考えられている。
しかし、主治医となれば、その方の看取りも 行わなければならないのである。
それは主治医に課せられた重要な使命である。
突き詰めると健康を維持することと病気を治すことと迫る死について向き合うこ とは根底で同じことであることに気がつく。
つまり、それは、確かな“生”を共に喜ぶことである。
何よりも“生”を大切にすることが医師の使命であるから。

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