今日は遅出であった。
午後の往診前にあべちゃんの部屋に行った。
いつも静かな部屋の前だが、今日はなにやら聞こえてくる。
ノックをしたら、男性の声がした。
入ると息子さんとあべちゃんが手を握り合って、笑っているところだった。
二人とも顔をくしゃくしゃにして眼に涙を貯めて笑っていた。
『先生・・ありがとうございました~』と息子さんが立ち上がって、言った。
あべちゃんはいつに無く顔色が良くて
『えへへ・・』と笑った。
『せんせ・・思ったより、早よ~来たわ~』と言った。
「良かったね~」と言って、顔色がとてもいいのを確認したので、早めに部屋を出た。
後で詰め所に息子さんが来られた。
『あと・・どのくらいでしょうか?』
「予後は悪いです。今は少し持ち直しましたが、いつ急変してもおかしくありません・・
よくもっても、今度の正月は迎えられないでしょう・・つまり・・数日から2~3ヶ月というところです。幸い痛みがありませんから。辛いのは食べられないことでしょう。食べるとすぐに腸閉塞になります・・・」
『わかりました。苦しまないようにだけしてやってください・・お願いします』と。
二人が会えて本当に良かった。
あべちゃんもこれで、胸のつかえがおりただろう。
そう思った。

コメント
コメント一覧 (7件)
病室の様子が浮かんできます。
直ぐに病院に来られた「息子さん」
会いたいと言った「あべちゃん」
会うことをすすめた「えいじさん」
本当に良かったです。
一日でも長く
「母、あべちゃん」でいられる時間が続くよう祈ってます。
本当にそうですね。
希望があるから・・あべちゃんは生きる力を得たと思います。
何よりの薬でした。
ずっと気になっていました。
二人があえたのですね。うれしいです。
墓には布団をかぶせられませんから、これまでの分、親孝行が少しでも出来ればいいな。
えいじさん、お疲れ様です。
涙が出てきます。
息子さんと会えて、よかったですね。
少しでも長く一緒にいられるといいなと思います。
SORAさん、ありがとうございます。
疲れていても、あべちゃんの部屋に行くと何故かこっちが元気をもらいます。
NAMUNYAKさん、いつもありがとうございます。
今日は熱が出てしまい、少し心配です。
どうやら尿路感染症を起こしたようです。
あべちゃんが毎日楽でいて・・笑顔が出るようにがんばります。
お医者さんなんですね。読んでいて「じ~~ん」と来ました。
そんな事は無いと思うのですが、えいじさんのような医者が減ったように感じます。
ブログまだ読んでませんが、読ませてくださいね。
頑張ってください。
マイケルさん、初めまして。
そう言って頂ければ、医師としてとても嬉しいことです。
ありがとうございます。