父は僕が幼い頃、毎晩のように添い寝をしてくれて、いろんな話をしてくれた。
それは、日本の昔話であったり、イソップ話であったり、自分の戦争体験や日本の歴史のある場面などであったり、遠い国の民話のような話であったりと・・
ありとあらゆる話をしてくれたのである。
僕はまどろみながら、それらの話を聞いていて・・・毎晩、楽しい、怖い、悲しい、いろんな夢を見ているかのような気持ちであった。
話はいつまでも幼いこころに残り、昼間も夢を見ているような気分であった。
近所のあそび友達にもその話を聞かせた。
みんなが興味津々で聞いてくれるのが楽しみであった。
父が大変物知りなのを僕は得意に思い、尊敬していた。
父は尋常高等小学校しか出ていない。独学で勉強したらしい。
大変な読書家であった。
英会話も独学で取得していたからすごい。
父の書斎にはたくさんの本があった。
海外や日本の小説、歴史書、哲学書などが多かった。
父は小さな農機具会社を経営していた。
自分が考案した脱穀機を製造販売していたのである。
小さな町にはその会社員が多かった。
良く出張に行った。その時は必ずおみやげがあった。
父はいつも良い臭いがしていた。
たばこは吸わなかった。
父が帰って来るのが楽しみだった。
父の眼も僕と同じ色をしていた。


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