すべては河の音で始まった。
まどろみの中に河の音だけが聞こえていた。
さらさらと・・・ある時は・・・ご~ご~と。
光が射し、夜が明け、また陽が沈み・・・
春が来て、蝉が鳴いて、枯れ葉が散って、木枯らしが吹いても・・
いつも大きな河の音が聞こえていた。
僕の子守歌であった・・・
窓を開けると、すぐ下にその大きな河は流れていた。
家の裏口から、すぐに降りることができた。
優しく、たゆとう河。
荒々しく、荒れ狂う河。
カワウソが浮き沈みしたり、沢ガニが上がってきたり、ホタルが舞う河であった。
やがて・・この河が大きな海に注ぐことを僕は知った。
瀬戸内の穏やかな銀盤の海へ・・・
祭りの後には、ふんどし一丁で子供達はこの河に飛び込んだ。
夏が来れば、一日中泳いだり、潜ったり、飛び込んだり・・
きれいな鮎やフナやハイジャコをいつも捕まえることができた。
淀みは、きれいな砂地で、温泉みたいに温かくなって気持ちよかった。
水に浮かんで流されるのも気持ちよかった。
おぼれかけた小さな子を助けたこともあった。
どこかのおじいさんが流れたこともあった。
中学生の時に自転車で源流を訪ねたこともあった。
50キロ以上の山道を・・こいで・・こいで・・登った。
大きなダムがあるのを知った。
河は偉大だと思った。
いつも悠々と流れていた。
高校時代は毎日、自転車でこの河の音を聞きながら、河の面を見つめながら、その土手を通った。
いつの間にか新幹線の橋がかかり、護岸工事がされて、きれいになったけど・・
流れる水は少なくなり、濁り、透明度が落ちてしまった。
ふるさとの河は泣いている。
もう・・カワウソはいなくなって・・特別天然記念物になってしまった。
いつの間にか濁った水の上で跳ねるのは・・ブラックバスになってしまった。
遊泳禁止は当然の事になってしまった。
いつか・・戻れるだろうか?
すべてが終わる時・・・河の音が聞こえるだろうか?


コメント
コメント一覧 (4件)
今の景色が 私たちにどうであれ
今の景色が 誰かにとっては故郷の景色になると思う
私たちが見る景色にも もっと昔があって
誰かにとっては それは 変化した景色かも
でも 変化って恐れてはいけないと思う
悲しいことだけじゃないから
きっと
変化には うれしいこともあると思うな
景色が戻るかは 分からないけど
きっと まだ出会ってない 素敵な景色に
きっと であえる
ほっとさん、ありがとうございます。
そうですね・・きっと・・まだまだいいこと、いい景色に巡り会えるでしょう!
期待して・・歩んでいきます。
うらやましく素敵な思い出です。
流れる河は 終わりがなく、止まることがなく
また貴方にめぐり逢うため流れ続けているのでしょう。
河の音は貴方の耳元で今も優しく語りかけています。
「私も貴方も変わらないよ」と・・
hiroさん、ありがとうございます。