あれは、雪の降る寒い冬の朝だった・・・
独り暮らしの父の様子がおかしいと・・
奈良の姉が急いで帰省したところ、父がぐったりして顔色が土気色で大変というので・・
僕も降りしきる雪の中を、パジェロを飛ばして実家へ急いだ。
携帯で様子を聞いたら、かなり重い病状と思いすぐに医者に連れて行くように姉に頼んだ。
姉がタクシーを呼んで近くの病院へ連れて行こうとしたが、急な雪だったので・・
坂道を越えなければ行けない病院だったので、タクシーに断られてしまった。
パジェロは、スタッドレスタイヤだったし四駆だったから、じゃあ僕が運ぶからと
待ってもらった。
間もなく実家について父を後部座席に乗せ、姉が側で介助して、病院に向かった。
後部座席で父のあえぎ声が聞こえた。
姉が焦っていた。
雪の降る中、パジェロを飛ばした。
田舎の道は空いていた。
小さな小川の上に橋が架かっていてその橋を渡って左折して、一山越えれば病院だった。
その橋の上を一台の車が進んでいた・・
その車は一旦停止して、左右確認していたのだろう・・
僕のパジェロもその後ろで一旦停止するつもりだった・・
しかし・・・
パジェロは停止しなかった・・
スリップを始め・・制御不能となった・・
追突!
高級車だった、そのクラウンマジェスタのリアランプの黄色いガラスが飛び散った。
弾みでマジェスタは飛び出した。
運良く対向車がいなかったから・・連鎖衝突は免れた。
一瞬の静寂が訪れた。
僕は、すぐ車から飛び出してその車に向かった。
何度も転んだ
車から独りの老人が頭を抱えて出てきた。
その人も転びそうになった。
何か言おうとして・・僕に向かってきた。
しかし・・パジェロの後部座席を見て顔色が変わって沈黙した。
『 おまえ・・・何やったんじゃ・・あれは病人か?』
『 大丈夫ですか?・・・すみません・・父が重病で・・』
『 よし分かった、はよ行け! 処理は後でええ、わしは病院に行くから後でおまえだけ来ればええ』
『 ありがとうございます・・すみません・・』
名刺を受け取って、病院へ急いだ
父を救急室へ送り届け、僕はその人が行った病院へ引き返した
その人は頸部捻挫という診断であった。
名刺には産業廃棄物処理業と書いてあった。
父の方は前立腺癌による尿閉で腎後性腎不全に陥り尿毒症となっていた。
膀胱にバルーンカテーテルを挿入留置したことでその後腎不全は軽快した。
しかし、リンパ節、骨にすでに転移し、進行癌であった。
またもや親不孝と思った。
父の闘病が始まった・・
追突事故で僕は二重のショックであった。
毎週帰省することになった。
父の見舞いと、その人へのお見舞いとお詫びだった。
一見、怖そうなその人は、自分の事はあまり言わず、僕の父の事を心配してくれた。
高級車は廃車になり、僕のパジェロはフロントガードとヘッドライトが壊れただけだった。
雪の降る冬の朝には・・点滅する黄色いウインカーが目に浮かぶ・・・


コメント
コメント一覧 (1件)
レオンさん
大変でしたね
お父さん、辛い思いしましたね
一人で心細かったでしょうに
でもアラレも同じです
父は今老人ホームにいます
多発性脳梗塞に伴うパーキンソン症候群です
家につれて帰ってあげたらどんなにいいか
でも母も病気なんです
母は胃がんで全適しました
その前後に腰の手術とても大きいの3回やりました
本当に3回死にそうになりました
必死で介護しました
今やっと落ち着きました
その両親どちらも大事です
でも二人同時は今の私には重いです
親不孝かもしれませんが
私は母を選びました
なぜなら母は私の命だからです
命がけで産んでくれて
命がけで育ててもらいました
心配かけた子供です
だから精一杯介護したいです
ながくなってすいません