livedoorblogより移転しました。

大きな個室

転移性肝癌の患者さんが『正月は外泊したい』と言う。
むくみで、もう点滴が入らないので中止した。
『頑張って食べる』と言う。。
起きあがるのがやっとだけれど、『一度家に帰りたい』と言う。
外泊用に病院の車椅子とポータブルトイレを貸し出すことにした。

肝動脈からの抗ガン剤動注も効果が無く、副作用も心配されるから中止した。

本人は『先生、もうそろそろやな・・』と言う。
「そんなことないよ」とすぐ否定したが、言葉はむなしく響いた。
『正月は外泊して、正月が空けたら大きな個室に移して欲しい』と言う。
「どうして?」と聞いたら、「女房に泊まってもらうから」と言う。
(彼には娘さんが二人いるが、今度の入院から見かけない。奥さんに聞くと・・『下の娘の夫は白血病で入院して大変なんです。上の娘の夫も最近脳梗塞で倒れてしまって・・二人とも遠いから来れません。』家族みんなが大変な状態なのだ。)

僕は競馬は全然知らないけど・・「有馬記念はどの馬が本命かな?」と聞いた。
『ゼンノロブロイやな・・騎手はペリエや・・』と話す。
26日が楽しみらしい。
枕元には競馬新聞がいっぱい積まれていた。

この記事が気に入ったら
いいねしてね!

よかったらシェアしてね!

この記事を書いた人

コメント

コメント一覧 (7件)

  • 僕も競馬はよく分かりませんが
    今回だけ馬券を買いますね。
    ゼンノブロイを単勝で!!
    走れ!!ゼンノブロイ!!その患者さんの夢を乗せて!!

  • 昨年11月に母を癌で亡くしました。
    母も亡くなる1ヶ月ほど前に、「一度家に帰りたい」と言いました。
    でも、おなかから管を出している状態でしたので、処置のことを考えると結局帰らせてあげられませんでした。
    それが今でもとても悔やみます。
    日帰りでもいいから一度連れて帰ってあげたらよかったと。
    私事ですみません。
    ゼンノブロイぜひ優勝してほしいです!

  • えいじさん、こんばんは。
     私は、人はたぶん最期に近づけば近づくほど、自分の最期がわかるのだと思います。そんなとき、「そんなことないよ」と言われると気休めを言われているようで、またそういわざるを得ない立場の「たてまえ」を見せられるようで、最後の最後までいやな思いをして逝くことになるのではないか、と思います。
     それよりも、「もうそろそろ最期かもしれないな」と言われたら「そう感じるのですか?」「そうですか?」とその直感を受け入れて差し上げるのはどうでしょう?だって、もしかしたら本当に、お医者さんよりも患者さんのほうが一番よくその時期をわかっているのかもしれませんし。その体験をした人にしかそのような感覚がわからない、と考えたら、気休めはいえないのかもしれません。
     その直感を受け入れて差し上げて、「ぼくが見守っていてあげるから、その時が来るまで納得できる生活をしてくださいね。」と言ってもらったほうが、私だったら安心し信頼して死ねるような気がします。
     今晩、ジョン健ヌッツオのクリスマスコンサートに出かけます。一足お先に「メリークリスマス」神様に導かれた人生を生きているジョンの歌声をあびてまいります。
     

  • 希望を消したくない・・という思いがついそういう言葉になってしまいました。
    僕は、まだまだですね。
    希望とは?
    延命では無いとわかっていても、本当の希望とは?
    キューブラーロスの言う受容という段階に達することは、どの患者にでもできることではなく・・看取る方もそこのところを読むことは難しいです。
    家族にさえ難しい・・
    ただ静かに聞いてあげる。耳を傾けるしかありません。

  • 北斗星さん、さっちゃん、ありがとう。
    ほんのちいさな夢、希望を叶えてあげられたらいいですね。
    毎日の苦しみの中にも些細な喜びがあって、その些細な喜びは当人にも愛する人にも大きな喜びに繋がっていくと信じます。
    希望の灯を灯し続けること・・それがケアーでしょうか?

  • 私は、母を12年前に看取りました。
    今でも後悔していることがあります。
    自宅で死なせて上げられなかったこと、
    治療を受けさせたことです。対症療法だけに
    しとけばよかったと後悔しています。
    今だったら、在宅医療も可能だったのに・・・。
    一生心に残って、母に謝り続けています。

  • soraさん、後悔するのはやめましょう!
    僕も母には謝りたい気持ちでいっぱいだけど、後悔してもしかたがないので、これからはその思いや教訓を考えながら診療に生かしたいと思えるようになりました。
    ホスピスもいいけど、やっぱり自宅・・住み慣れた場所が老人やターミナルの患者さんにはいいですね。
    在宅医療はやりがいもあり楽しいですよ。

コメントする

目次