10月18日付けの《ターミナルケアーについて》に関連して・・
地域の患者さんで70代の女性である。家族ぐるみ診ている。
平成14年に胃カメラ検診をしたことがある。
このときに小さな粘膜下腫瘤を診断していた。
それから、一年間来院されなかった。
一年後おなかが張ると言ってみえたときには上腹部に子供の頭大の大きな腫瘤が見つかった。
画像検査でも性状から、GISTを疑って総合病院を紹介した。
GIST(消化管間葉系腫瘍)・・昔はこれを平滑筋肉腫と言った。
悪性腫瘍は癌と肉腫に分けられる。
手術で主な腫瘤は摘出され、やはりGISTと確定診断された。
しかし、3ヶ月後にはまた大きな腫瘤が腹膜や肝臓に転移して現れた。
総合病院では末期と判断され近くのかかりつけで・・ということで戻って来られた。
食べられなくなり、腹水がいっぱい貯まり、動きづらくなって入院された。
腹水は血性で、1週間に1度大量に抜かなければ苦しくなり、ガリガリにやせてきて、輸血も時々やらなければもたないというような末期状態を呈してきた。
家族にもう1ヶ月もたないだろうと話した。
しかしこのGISTの治療に関しては医学のめざましい進歩がある。
最近認められたばかりだが・・まだ使用経験は無いが・・副作用も気になるが・・
最後の手段として、塩酸イマチニブを使用してみることを考えた。
これは悪性腫瘍の発生が分子生物学的に解明された結果、その発生の根っこを押さえ込む標的治療である。
慢性骨髄性白血病では使用が認められていたが2年前からこのGISTにも適応が拡大された。
高い薬である。飲み薬である。
このままではもうなすすべが無く、副作用も危惧されたが家族に説明したところ、
強く希望され、使用開始した。
2週間目で効果が現れた!
腹水を抜かなくてもおなかがすっきりしてきたのである。
最初はおう吐することもあったけれど、2週間目から食欲が出てきた。
みるみる元気になり、1ヶ月目に退院された。
僕が入院している間も、きちんと服薬を続け、代理の先生が診ていてくれた。
今日3ヶ月ぶりに診察場で会った。
全く腹水は消えて、すこぶる元気!
感動ものであった。
この患者さんは僕のことばかり心配してくれた。
ターミナルと判断することに安易であってはならない。
医学の進歩を信頼した上でのターミナルケアであるべきである。
ターミナルの概念は、一刻一刻変化していくものである。
あきらめてはいけない!

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