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医師としてのこれからの人生

昔、ある先輩医師に『おまえはワーカホリックやなあ~』と言われたことがあった。
また、患者にのめり込みすぎたのか、自分で『よけいなお節介をしたなあ~』と感じてしまったりすることもしばしばあった。
医師という仕事は、やりがいのある仕事と感じている。
だから、あれもこれもと自分のできること、やらなければならないと決めたことはやってきた。
それが積もり積もって、しんどくなることが良くあった。

外来診察も、入院患者の受け持ちも、往診も、内視鏡検査も、効率よく最高の能力を発揮するようにがんばってきた。
書類作成も多い、診断書やら、紹介状、訪問看護指示書、介護保険意見書、胃透視の読影、腹部CTの読影も患者の命に関わるので気が抜けない。健康診断書の判定もあった。
管理業務もいろいろあった。
在宅部をまかされていたし、電子カルテの導入にも責任者として頑張った。
NST委員会も立ち上げたし、緩和ケア委員会も立ち上げて、定期的に会議をもった。
しかし、自分の構想が思い通りになったわけではなかった。
理念の異なる理事長に従わざるを得なかった。
人事権は全く無かったし、次々と退職する有能な人材に別れを惜しんだ。

こんな生活が長く続いた。
入院患者の急変や往診患者の24時間対応のための拘束当番も回ってくるので、晩酌はまったくしない生活であった。
つきあいで飲めば飲めるが、酒の味はわからないままの人生だった。
いつのまにか、子供達は社会人となって家庭ももった。
疲れた週末にテニスクラブに行くとたいていは負けた。

結局は、ワーカホリックなんだなあと自分でも思った。 
63才の時に、『一度きりの人生、余裕をもつ時期にきたなあ』と思った。
愛犬が亡くなってさみしかったので、また犬を飼いたいと思った。

法人のため、自分を犠牲にする必要はないだろう❗
自分の人生は自分が決めなければと考えた。
第二の人生は自分の思うように生きたい。
患者さんを診ることは、やりがいがある。
医師になって40年、この地で、地域医療に取り組んで、22年。往診もこの地に来て始めた。
患者さんを診ることは楽しい。自分に合っていると思う。
主治医というもの、かかりつけ医というものは、責任性、継続性、包括性の3本柱が基本とどこかのセミナーで聞いて、ガッテンした。
その患者に責任を持ち、信頼関係を築き、長く継続して診ていくこと、病気のみならずその人全体を診ること、臓器毎に患者さんを他人任せにしないこと。
その人の生き方や大切にしているものを知ること。そうすると自ずから、その患者さんの医療方針は決まってくる。
緩和ケアや看取りはその延長に自然とある。
患者の家族とも信頼関係が築ける。
自然とACPが出来てくるわけだ。
大変なのは、予後1~2ヶ月という患者さんを紹介されて、初診で、自分のような主治医ではない医師からの紹介を受けた時だ。
とても時間が足りない。信頼関係も築けない。
延命治療どっぷりで『頑張れ!頑張れ!』の患者さんは、じっくりと話すこともむずかしい。
具体的な、「点滴がどうのこうの」という話で根本的な話が抜けているのだから・・・

65才の誕生日で、常勤を退職した。
社会保険も加入しなくなった。
老齢基礎年金は保留して、厚生年金は受け取ることにした。
非常勤となり、週に7単位の勤務となった。火曜日と土曜日と日曜日が休みだ。
しかし、診療所の在宅診療を支えるために、在宅拘束当番医は引き受けることになった。
そして、読影業務も残った。
診療所の管理責任は無くなった。
入院患者を受け持つことは無くなった。

なんとか、主治医として、責任性、継続性、包括性の3本柱を維持することができたのでほっとしている。
休みの日はテニスに没頭することができるようになった。
65才なので伸びしろは少ないかもしれないが、ボールに集中して追いかけることは心身に良いことは間違いない。
多くの仲間もいて楽しく過ごせる。また、飲める日にはアルコールを楽しめる余裕ができた。
本や映画にも浸れるようになった。

決断して良かったと思う❗

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この記事を書いた人

コメント

コメント一覧 (4件)

  • 先生の優しい眼差しと、人としての芯に何時も安心感があります。
    私も今年65才になります。後、何年この様な生活が出来るのか。
    毎日色々な人生に触れ、ハッとする生き方に出会います。今の私に必要な出来事が起きるのですね。
    ある患者さんが「時間がないんですよ、私には時間がないんですよ」と大声で言っていた。その時、私も「時間が足りない」と感じました。
    焦りを感じます。永遠の宿題をしています。少しでも、ワクワクする様に感受性を大事にしていこうと思ってます。

  • 西尾さん、ありがとうございます。いつも西尾さんには一目おかせてもらっています。患者さんを安心して看てもらえますから。
    最近、心が戻ってきて患者さんやスタッフに優しくなれるようになりました。余裕が大事ですね。これからもよろしくお願いします。

  • 先生でさえも、いろんな思いを抱えながらこれまでやってこられたのですね。
    真摯に今の天職に向き合ってきた先生だからこその思いなのかなって想像しています。
    私は今年で55歳になるのですが、看護師人生の残された10年をどう過ごすのか、真剣に悩んでいるところです。組織の中で求められる事に応えていくのか、少し無理してでも自分の力でやっていくか。
    いろんな方々に支えられながらこれまでやってこれた感謝を忘れず、でもこんな自分でも誰かのお力になれるのであればと思いながら、その場所をどこに置くのか。
    先生のブログ拝見し、自分らしく生きられる道を模索したいなって思いました。今、このブログに出会えた事に感謝‼︎

  • ありがとうございます。素直な気持ちが一番ですね。お互いにまっすぐな気持ちで頑張りましょう!

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