特養に就職してひと月が過ぎた。ようやく慣れてきたかもしれない。施設は広い。医務室からフロアや詰め所への動線がなかなかつかめず施設内をうろうろしてしまうことがようやく減ってきた。各階のエレベーターや階段は、入所者さんが誤って踏み入れないように安全確保のために、施錠がしてあったり、暗唱番号を入れないと解錠できないようになっているのでそこで戸惑う。
特養のフロアは2階、3階と二つあり、1フロア70名づつで140名が入所されている。それぞれのフロアは3つのユニットに分かれていて花の名前がつけられている。いわゆるユニット型ではなくて、従来型の特養である。4人部屋もあれば個室もある。どこも十分に広いスペースで築20年とは思えない。今後、少しづつリフォームもしていくようだ。
たくさんの入所者さんがいるので把握するのが大変だ。しかし、常勤医たるもの、入所者さんを把握しておくことは必須である。入所者さんにとっては「終の棲家」であり、病院ではなく生活の場であるからこそ、その方達のそれぞれの物語を知っておく必要がある。そしてスタッフ間でその物語を共有しておく必要がある。
EBM(evidence based medicine)が幅を効かす病院ではなく、NBM(narrative based medicine)がなにより重要なのだと思っている。
入所者さんの回診
入所者さんを回診してみると、困ったことが多い。似たような人が多い。認知症を多かれ少なかれ有している。声かけしても返事がない、話がかみ合わないことも多い。中には楽しく会話が弾む人もいる。看護師から教えてもらったり、紙カルテで情報を拾っていく。どうしたら把握できるのだろうと焦るし悩んだ。
部屋毎に名札がかけてあるが、臥床している人は少なく、昼間はデイルームで皆さん座って過ごされていることが多い。お互いに会話をしている人は比較的少なくなんとなく雰囲気は暗い。特に男性はじっと座っているひとが多い。
入浴中の人もいる。デイルームにいる人は名前がわからない。看護師さんについてもらって紙カルテ見てお話ししてみて身体診察をして、これを繰り返すしかないだろうと思う。
特養の長期入所者は120名近くいて、ショートステイの人が約15名混在している。残りのベッドはどこかの病院に入院中の方のベッドで3ヶ月は空けておく必要がある。
看護師さんについてもらって、いろいろと聞きながらカルテを見ながら把握するのだが難しい・・・。
データベースをNotionで作ろう
特養では、入所者の情報共有はほぼ施設内となる。だから、MCSの京あんしんネットでの共有で無くても良いと考えた。1年ほど前から私的に使っていたNotionがとても良いデータベースになると気がついた。それも無料で構築できる。10部署までは無料で共有できる。データベースのテンプレートをダウンロードして特養入所者管理データベースを独学でなんとか作り上げた。YouTubeを見るといろいろ学べる。
氏名、年齢、入所日、病名、既往歴、認知症の程度、キーパーソン、部屋番号やフロア名、要介護度、現在のステータス(新規、安定期、不安定期、看取り期など)、医療処置内容、お顔の写真、備考やメモなどいろいろと項目(プロパティー)は追加できる。それにコメント欄があり、スタッフ間での連絡ツールにもなる。ひと月かけてやっとこれを作り上げた。写真があるので、繰り返し見てなんとか把握できそうな気がしてきた。
Notionの良いところ
回診中にiPhoneでお顔の写真を撮ってNotionに入れた。
笑顔で撮れた人が多い。Notionのギャラリービューで写真一覧が見られる。スタッフが「皆さん、こんな笑顔ができるなんてびっくりです!ここが明るくなりましたね〜」と言ってくれた。スタッフ達も明るくなったような気がする。
テーブルビューで一覧を眺め、氏名や部屋番号で検索すればすぐに情報にアクセスできる。気になったことは備考やコメント蘭に記入できる。いろんな並べ替え(ソート)で入所者さんを俯瞰的に把握できる。例えば、年齢は下は70歳と自分より若く、上は最高が100歳が4名おられた。入所期間は最長は5624日(15年5ヶ月)で平均は1095日(3年間)であった。介護度の平均は3.75だった。フィルターでカテゴリー別に抽出できる。
認知症のない方は、11名(9%)、軽度の人も11名(9%)、中等度の人は51名(42%)、高度の人は49名(40%)おられる。
ボードビューでは、ステータスで区分けすることによって、新規入所者、安定した方、不安定な方、癌を有した方、看取り期の方などを簡単に仕分けることができるし、簡単にステータスを変更することができる。
回診の時はiPadでこのデータベースを見ながらやれば安心だ。
看護師、介護士、相談員、ケアマネージャー、機能訓練士、栄養士などに共有してもらおうと思う。
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