特養常勤医の役割

特養に勤務して7ヶ月が過ぎた。
改めて特養常勤配置医の役割を考えてみた。

目次

介護施設に勤めるという意味

医療機関に勤務しているのではないし、保険診療をしている訳ではない。
介護施設に勤めているのである。
従って、病気の治療を目的にしているわけでは無い。
かといって、介護をしているわけではない。
入所者の生活の場で、健康管理、介護職の相談にのるということが主な仕事なのだ。
介護職(看護師、介護スタッフ)が介護を実施する場所であって、医師は介護を行う立場にない。
栄養士は日々の食事の管理に気を遣い、機能訓練士は入所者の身体的機能を維持する様に頑張っている。
ケアマネジャーは施設介護のプランを作成し、家族や担当者と調整に当たっている。

看護師の役割と誇りへの配慮が必要

看護師は、上記介護上の全てをよく把握し家族との信頼関係に努めている。
食事の問題も排泄の問題も身体の変化もスキントラブルもよく把握している。
担当の入所者のNBMを知り尽くしているのである。そのことに誇りを持たれている。素晴らしいことである。
医師は介護に介入してはならない
介護上の問題は看護師がほとんどを把握していると言う立場に立たなければならないのである。
医師としての自分が、当初間違えてしまったことは、看護師を抜きに家族と話をしたり、食事や排泄の問題に介入してしまいがちであったことである。
在宅医療においても訪問看護が入っているところは訪問看護と家族の関係が主体であった筈であるが十分配慮していなかったことを反省している。訪問看護が入っていない訪問診療だけの患者には介護上の問題に口出しはしていた。
しかし、特養という介護施設では介護は介護者に任せないといけないのである。
看護師の誇りを傷つけるようなことがあってはならないのである。

治す立場から見守る立場への切り替えが必要

入所者が高熱を出したとする。
これが、重篤であったり精査加療を要する状態であれば医療機関に紹介しなければ施設で治すことは困難であり、家族からも信頼を得られない。

一方で、単なる風邪やちょっとした体調不良であれば、わざわざ病院への受診は家族にも最寄りの医療機関にも迷惑がかかる。その見極めが配置医の枠割りなのだろうと思っている。
脱水があり短期間入院して良くなる見込みがあるなら紹介しなければならない。
老衰で今後も回復の見込みが少ない場合は『看取り期』として家族に説明を行い、看取り介護をスタッフで行うようにしていく必要がある。

常勤配置医は、入所者の主治医ではなくかかりつけ医である
最期は看取りに関わり死亡診断書を記載するのが役割である。
看取りにしても、家族と介護者の関わりが大きい。それを遠くから温かく見守り最期は死亡確認を行い診断書を記載するのが役割でありミッションなのであると思うようになった。

相談役として助言者として頼られるように

だから、介護施設における医師はあまり前面に出てはならない
相談者として頼られたり、助言者として頼られたりしたらそれで良いのである。
あくまで相談役であり、最期まで見守る位置にいるべきなのである。

頑張りすぎないこと

医療機関で働いている時のように頑張りすぎない方が良い。
余計なお節介は無用である。
介護上の問題に口出し過ぎないようにしなければならない。
家族との関係にしても介護者と家族との関係がまずあるべきなのであって、医師との関係が強くなっては良くない事なのである。

ある意味、医師としてはさみしい思いがするがしかたが無い。
その中でやりがいというものを築き上げることが必要なのだろう。

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この記事を書いた人

⼩宅 映⼠(おやけ えいじ)
趣味は、テニス、写真撮影、音楽鑑賞など

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