医師としていつまで働くか?

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はじめに

65歳で常勤勤務医を退職し、非常勤として外来診療、訪問診療、内視鏡検査を続けてきた。
72歳の今、これからをどう生きるか考えた。身体的には元気だと思う。
仕事をしなくなって趣味だけの生活になる自分は果たして生き生きしていられるだろうか?
ずっと、ずっと考えてきてそうは思わなくなった。もちろん、若い時の様にハードな仕事はこなせない。

73歳からの働き方を想う


臨床医として長く患者さんを診る中で、医師は治療をする役割だけとは考えなくなった。
訪問診療や外来診療で、多くの高齢者や癌終末期を診てきて思うのは治療だけが医師の仕事では無いということだった。ケアを支えるチームの一員としての役割や終末期を支える役割があり、最期は穏やかな尊厳のある看取りを手伝う大切な役割があるのである
だから、これから働ける間はケアを支える仕事をしようと考えた。具体的には特別養護老人ホームで医師として働くことである。
医師の再就職には多くの斡旋会社があって、一度登録するとたくさんの求人情報が飛び込んでくる。
いろんな就職口がある。
しかし、特別養護老人ホーム(特養)はまず無い。介護老人保健施設(老健)は多くある。訪問診療も多くある。
往診の経験は長い。しかし老人ホームや施設に勤務したことはない。多くの患者さんを送り出す立場であった。

老健と特養を比較して


老健は、在宅復帰を目指した短期(3ヶ月)入所施設である。病院と在宅療養の中間施設でリハビリが主目的である。しかし、高齢者であるが故に亡くなられる方もいる。どうしても看取りもあるのである。誰もがリハビリして在宅復帰できるとは限らない。しかし、国はそういう位置づけしているのである。入退所が多く、じっくりと継続して診ることは困難だろう。自宅に帰れる条件のある方は少ないのが現状だろう。そうなると本来の目的とはかけ離れ、悩ましいことになるだろう。看取りになった時も、老健の位置づけからして平穏とは限らないだろう。
特養は、『終の住処』とよく言われる。自宅介護困難で要介護3以上の方々が入所される。そういう人々の生活の場である。そこに勤務する管理医師(配置医師)は入所者の健康管理を行い、医療行為はほぼ行わない。医療行為が必要になったら病院へお願いすることになる。高齢終末期、いわゆる老衰は食べられなくなるのが自然である。点滴も経管栄養も自然に反し非倫理的行為であろう。自然に枯れるように看取ることが多い施設である。平穏に一生を終えられるのである。そのコンダクターが特養配置医師の大切な役割と思っている。

そういうことを考えて、働き場所は特養と考えた。その候補がひとつ見つかった。面接の日も決まってきた。
今の仕事先の患者さんを次の主治医へきちんと引き継いで新しく船出をしたいと思う。

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