午前中の外来診療を終えて、すぐに施設に向かった。
民間医局のエージェントと予定の10分前に現地待ち合わせだった。なんとか間に合った。
施設長、事務部長、看護部長の3名と面接をしていただいた。
今までは、送り出す立場で特養のことはケアマネージャーから聞いたり、一般的な知識でしかない。
特別養護老人ホーム(特養)とは、別名介護老人福祉施設とも言われる。入居者は要介護3以上で在宅での生活が困難な高齢者に対して、生活全般の介護を提供する施設ということである。
そして『終の棲家』と言われる。
ここに配置される医師は、運営規程に定められていて、「入居者の健康管理」「入居者の定期健康診断および予防接種」「入居者の支援」を行うとされている。
施設内の「かかりつけ医」とも言われる。特養では医療保険は適応されない。介護保険適応施設である。
定期的な慢性疾患の処方や臨時処方はどうされているか聞くと、外部の医療機関(関連病院も含む)を受診してもらって処方されているとのこと。施設内での処方はしていないとのことであった。
看取りの現状を聞くと、以前施設での看取りをしていたことがあったが現在はすべて病院に搬送して看取っているとのことであった。現在は4年くらい前から非常勤医師体制になっているからかもしれない。今回より常勤医師を採用されることになるようだ。
看取りについては、ぜひ前向きに希望のある方はACPを繰り返しながら施設内看取りをしていきたいと発言すると、関心を持って聞かれてたように思う。
特養配置医師の業務内容としてどういうものがあるのか調べてみたところ、下記の様であった。
- 定期的な回診
(健康状態、生活環境の適正・心身の状態にふさわしい食事・入浴等への意見(アドバイス) - 必要に応じた処方箋の発行
- 臨時の往診及び処置
- ターミナルケアから看取りへの関わり
- 主治医意見書の作成
- 外部医療機関との連携(紹介状の記載)、家族への説明
- 急変への対応(指示照会等)
2、に関しては医療保険にて保険請求ができるとなっているが、これがよくわからない。(何故なら保険医療が特養ではできないのでは?ということ)
4、に関しては平成30年の介護保険改定にて緊急時配置医師対応体制加算(介護保険)が導入されている。
対象となる時間帯 | ||
配置医師緊急対応加算 (早朝・夜間) | (早朝)6時〜8時 (夜間)18時〜22時 | 650単位/回 |
配置医師緊急対応加算(深夜) | (深夜)22時〜6時 | 1300単位/回 |
面接の後、施設内見学をした。田園地帯で側に小川が流れ、山裾の立地で同じ建物にはケアハウスやグループホームもある。少しいくと関連施設で介護老人健康施設(老健)もあった。
築20年と言われたがまだまだきれいで掃除も行き届いていて何より広々としていた。
エントランスはまるでホテルのようで、大きな多目的ホールも備えてあった。
ショートステイのところではデイルームに比較的元気そうな方々が何名か座っておられた。特養部分はさすがに介護度の高そうな方々が車椅子に座っておられた。研修生が食事介護もされていた。入浴設備は整っていて広かった。
案内していただいたスタッフも感じよく、看護部長は以前病院の総師長をされていた方で同い年でうさぎ年だった。赴任してまだ2週間くらいと言われていた。看護師はその方を含めて9名であったが夜勤は無いそうだ。カルテは紙カルテで介護にはワイズマン電子カルテが入っているが使いこなしていないということであった。
採用されるのかどうか不安がある。
一方で、採用されたら頑張ろうと思う。看取りは条件のある方はしていきたいと思う。スタッフと連携して頼れる配置医師になろうと思う。しかし、性格上やり過ぎるきらいがあるのでセーブも必要だろう。改革して途中で退職すれば同じ体制が維持できるかどうか心配だからである。まずは基本的な業務に慣れる必要があるだろう。
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