『山下達郎シアター・ライヴ PERFORMANCE 1984-2012』アンコール上映を観て

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山下達郎は我が青春を駆け抜けたシンガーソングライターである。
歳は2歳下。僕と同い年の笑福亭鶴瓶とは40年来の仲良しのようだ。
まさに我が青春の音楽だった。
満ち満ちるエネルギーとほとばしる情熱、心の底から歌い上げる力強く澄んだ声と心地よいリズム。スクリーンを見つめていると、当時のいろんな思い出と曲が交錯して鮮やかによみがえってくる。

『山下達郎シアター・ライヴ PERFORMANCE 1984-2012』はーー
2012年に劇場公開され、2019年と今年(2026年)にアンコール公開されている。
今年はソロデビュー50周年に当たる節目の年だ。
当初8月14日から2週間の限定上映予定であったが、好評のため期間延長されるほどの賑わいを見せている。
今年の夏もそろそろ終わりになってくる。

目次

山下達郎という「音楽職人」の歩み

山下達郎は東京池袋生まれ。
幼少期からラジオで流れるアメリカのポップスやロック、R&Bに夢中になり、高校時代に自主制作盤を制作したことをきっかけに、音楽の道へ進むことを決意。
明治学院大学に進学するも、音楽活動に専念するため中退した。
ジェイムズ・ブラウンやカーティス・メイフィールドなどのソウルミュージック、R&B、そして1960年代のアメリカン・ポップス(特にビーチ・ボーイズのブライアン・ウィルソン)や、フィル・スペクターの「ウォール・オブ・サウンド(音の壁)」から多大な影響を受けている。

1973年、大貫妙子らと伝説のバンド「シュガー・ベイブ(SUGAR BABE)」を結成。
1975年に名盤『SONGS』でデビューするが、当時はハードロックやフォーク全盛期。
彼らの先進的なCity Popサウンドは時代に理解されず、「売れない」「理解されない」という酷評と不遇の時代を過ごした。
(ちなみに、シュガー・ベイブをデビューさせた故・大滝詠一氏は、師であり終生のライバル・理解者でもあった。)

1976年にソロデビュー。
転機となったのは1980年のアルバム『RIDE ON TIME』と同名シングル。
CMソングに起用され大ヒットを記録。
長年の苦労が一気に報われ、日本を代表するトップアーティストの仲間入りを果たした。
半世紀(50年)という時が流れても、その美学は揺らぐことがない。

劇場を包み込む中高年男女の熱気と「シアター・ライヴ」の衝撃

京都では「T・ジョイ京都」でのみ上映されていると知り、さっそく行ってきた。
映画館は超満員でフロアはごった返していた。
スマホ予約のQRコードですんなりと入館すると、会場は8割方埋まっていた。見渡す限り同世代の中高年男女、おとなしく落ち着いた紳士淑女達ばかりである。
若いファン層が増えていると聞くが、ここでは我が青春の同好会のような安心感があった。

初めて体験するシアターライブ。
余計な解説などは一切ない。暗転するといきなり、コンサートが始まった。

あ〜、やっぱり山下達郎だ❗
「あ、若い頃の達郎だ❗」

映像の解像度は年代相応だが、やはり山下達郎だ❗
圧巻の音楽と歌声が一瞬で聴衆を沸かせる。
腰まで届きそうなロン毛を左右に分け、シャウトすると黒髪を振り乱す。
ジーンズに真っ赤なシャツ、エレキギターをかき鳴らす姿が本当にかっこいい。
思わず、自然と身体がリズムをとって動き出す。

大学を卒業した頃から聴きだした僕にとって、当時は「どんな人が唄っているのか」顔も知らなかった。顔出しは無かったと思う。テレビに出ることも無く、ライブにも行ったことが無く、ただCDをドライブ中に聴いてきた。ワクワクして、時に涙し、辛い時も元気をもらってきた。

スクリーンの中で、歳を追うごとに風貌が少しずつ変わっていく。
髪は短くなり、グレーがかかり、優しく温かい「大人」の顔になっていく。
ふとチェリストの「Yo-Yo Ma」の面影が重なった。いずれも超一流の芸術家ならではの顔である。

そして、バンドの仲間との視線の交わし合い。
キーボード、ドラム、エレキギター、サックス、クラリネット、バックコーラス達との圧倒的な一体感から、彼が仲間をどれほど大切にしているかが伝わってくる。

奇跡のセットリスト(全15曲)

映画で登場した楽曲たちは、まさに圧巻のベスト選曲だった。

1.SPARKLE
 1986.7.31@中野サンプラザホール(PERFORMANCE ’86)
2.LOVELAND, ISLAND
 1986.10.9@郡山市民文化センター(PERFORMANCE ’86)
3.メリー・ゴー・ラウンド
 1985.2.24@神奈川県民ホール(PERFORMANCE ’84-’85)
4.SO MUCH IN LOVE
 1986.10.9@郡山市民文化センター(PERFORMANCE ’86)
5.プラスティック・ラブ
 1986.7.31@中野サンプラザホール(PERFORMANCE ’86)
6.こぬか雨
 1994.5.2@中野サンプラザホール(Sings SUGAR BABE)
7.煙が目にしみる(SMOKE GETS IN YOUR EYES)
 1999.2.4@東京・NHKホール(PERFORMANCE ’98-’99)
8.ずっと一緒さ
 2008.12.28@大阪フェスティバルホール(PERFORMANCE 2008-2009)
9.DOWN TOWN
 2008.12.28@大阪フェスティバルホール(PERFORMANCE 2008-2009)
10.希望という名の光
 2012.4.1@神奈川県民ホール(PERFORMANCE 2011-2012)
11.今日はなんだか
 2010.10.27@神奈川県民ホール(PERFORMANCE 2010)
12.アトムの子
 2012.4.30@大宮ソニックシティ(PERFORMANCE 2011-2012)
13.RIDE ON TIME
 2012.4.30@大宮ソニックシティ(PERFORMANCE 2011-2012)
14.恋のブギ・ウギ・トレイン
 2012.4.30@大宮ソニックシティ(PERFORMANCE 2011-2012)
15.さよなら夏の日
 2010.8.14@石狩湾新港樽川埠頭横 野外特設ステージ(RISING SUN ROCK FESTIVAL 2010 in EZO)

ラストの「さよなら夏の日」が流れると聴衆は感極まって涙し、手を振っていた。

それぞれの曲に思い出がある。もっともっと聴きたい。
あの曲もあの曲も聴きたい。
ラジオ番組サンデーソングブックで、達郎と竹内まりやは
「いずれ、シアターライブ【パートⅡ】をやろうね❗」と言っていた。
元気でバリバリ活動しているようだ。秋もあちこちライブ興業をやるらしい。

曲調も年代とともに変化している。
70〜80年代はほとばしる青春のエネルギー。
90年代以降はボーカルの深みとオーガニックな温かみが増す。切ないバラードに心が揺さぶられる。
しかし、どれだけ歳を重ねても「声」だけは全く変わらない。
透き通ったクリスタルボイス、いやダイヤモンドのような輝きを放つ声量は圧巻だ。

なぜサブスクにないのか?彼の「職人魂」に納得

僕はApplemusicを長く利用しているが、山下達郎の楽曲は皆無である。
それは彼がサブスクリプション(定額制配信)を嫌う理由があるからだ。
頑としてストリーミングサービス(SpotifyやApple Musicなど)に自身の音源を提供しない姿勢を貫いている。
アルバムという一つの作品としての音質や曲順、そして音楽表現へのこだわりを守る「職人」だからこその決断なのだろう。映像の市販DVDを出さないのも同じ理由だろう。その頑固な姿勢を、ファンとして心から支持したい。

素敵な奥さんである竹内まりやの「人生の扉」(アルバム『Denim』収録)のフレーズが胸に浮かぶ。

・・・
I say it’s fine to be 60
You say it’s alright to be 70
And they say still good to be 80
But I’ll maybe live over 90

君のデニムの青が褪せていくほど味わい増すように
長い旅路の果てに輝く何かがあるさ

I say it’s sad to get weak
You say it’s hard to get older
And they say that life has no meaning
But I still believe it’s worth living
But I still believe it’s worth living

「推し活」の始まり

これまで「推し活」などしたことがなかったが、すっかり感化されてしまった。
秋にリリースされるライブ音源『JOY2』の限定盤をさっそくタワーレコードで予約注文した。
同世代の彼がバリバリ活動している姿を見ると、「自分も負けていられない、見習わなくちゃ!」と元気が湧いてくる。

映画館を出たあと、余韻の中で公式YouTubeを開いた。

おすすめ動画: LoveLand Iland  Special Clip (2002)
東山紀之氏が華麗なステップを披露している大好きな動画。
今でも見られるのでぜひチェックしてみてほしい。

山下達郎 オフィシャルサイト
山下達郎 Tatsuro Yamashita Official YouTube

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この記事を書いた人

⼩宅 映⼠(おやけ えいじ)
趣味は、テニス、写真撮影、音楽鑑賞など

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