「幸せジャンクション」に希望の光を見た

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ドライブは好きだ。通勤はずっと車だったし、時々犬を連れて旅行にも出かける。
愛車は、何台乗り継いできただろう。しかし、キャンピングカーには乗ったことがない。

ドライブ中に時々Audibleを聴いてきた。
何を聴こうか・・探していたら、青空とキャンピングカーのイラストが目に飛び込んできた。
タイトルは『幸せジャンクション』、著者は香住 泰。
思わずダウンロードして、往復の車中で聴いた。
キャンピングカーは憧れだ。車中泊しながらのドライブ旅行もいいだろうなあ。
いったい、どんな物語が展開されるのか?
そろそろと聴き始めたところ、次々と展開があり次第に引き込まれていった。

目次

主人公、浜浦遼二の魅力

主人公の浜浦遼二は運送会社配車係を務める60歳の還暦。
広い知識と深い教養があり、豊かな知恵を身につけている。
優しく温かく、勇気や冷静沈着さも合わせもった人物だ。
咄嗟に出てくるアイデアは長年の経験からくるものなのだろう。
(余計なお節介をしてしまうところなんかは、自分に良く似ているのだった・・・)
訳あって10年ほど前に前職を失い、家庭は崩壊、妻子は実家に帰ってしまうという辛い過去をもっている。
それからの10年、心を閉ざし、じっと堪え、諦めず、実直に配車係の業務をこなしてきたのだった。

それが、ひょんなことから、突然のキャンピングカーとの出会いにより動き出す。
キャンピングカーが運んだ小さな奇跡が次々と展開されていくのであった。
出会う人、遭遇する状況に真摯に向き合い、誠実に対処していくその過程に、こちらもわくわくし爽やかな気持ちになっていく。
浜浦は人を巻き込み、人を引き寄せ、人を幸せにしていくのだった。じんわりと幸せ感が拡がっていくのだった。

もう一人の主人公、多智花夕夏

もう一人の主人公は、介護福祉士として働く28歳の女性・多智花夕夏。
思いやりがあり、礼儀正しく、明るく人に優しい。
はっきりものを言う性格だが、彼女もまたも辛い過去を抱え、何かに堪えていたのだった。

還暦あたりのおじさんと若い女性の二人旅はハラハラ、わくわくするが、そこは浜浦が紳士だったので救われる。
浜浦を支え、自然と秘書的役割をきちんとテキパキとこなし、いつか頼もしい相棒になっていく。
一緒に幸せを拡げていき、彼女自身も救われていくのだった。

人生の分岐点を描くロードムービー

キャンカーは何も語らない。しかし、関西と東京を往復するドライブの中で、かけがえのない物語を紡いでいく。
人生には、しばしば分岐点が訪れる。
この物語は、道路の分岐点であるとともに、登場人物達の「人生の分岐点」を描いていた。
その分岐点で、いつも誠実に、優しく、ひたむきに歩んでいく男と相棒の物語だった。

トラック運転手達や松川社長の話。(詳しくはネタバレになるので省略)
瀬田川夫人と介護士多智花夕夏を載せてドライブする話。
あおり運転をする建設工業専務の黒河内卓哉の話。
老紳士とその孫、白い大型犬を信州まで送っていく話。
通りがかりのバス停でうずくまっていた臨月の女性とその父親の話。
次々と登場する人々が抱える辛い気持ちを、浜浦が解きほぐしていく。
その顛末に爽やかで、清々しい感動が拡がって行く。

多智花夕夏はこれを「はまうら効果」と言うのだった。

『はまうら効果』こそ希望の光

「浜浦さんと一緒にいるといつの間にかみんな浜浦さんの感化を受けてしまいます」と夕夏は言う。
浜浦遼二のような人物は、日本中の至る所にいるのだろうと思う。
目立つわけでは無い、しかし、彼たちの考え方や行動によって、日本はここまで発展してきたのだろうと思う。
誇り高い日本の文化、安全で治安の良い国、マナーを守り礼儀正しく思いやりがある精神。
これこそ、武士道精神をもった男達の姿なのだろう。

真摯に生きる人々に次々と事件が巻き起こるが、温かい決着でハッピーになっていく。
そんなエピソードに触れていると、とても幸せな気持ちになっていく。

人々の分断が進行して、世の中が殺伐としていっているこの時代に、彼は真っ正面から向かって行くのだった。
これは奇跡だったのだろうか?いや、起こるべくして起きたことなのだと思う。

続編『思いをつなぐハイウェイ』でさらに広がる希望

話は、続編『思いをつなぐハイウェイ』に続き、浜浦自身もついに本当の幸せをつかむのことになる。
アロワナを運ぶ道中、黒河内菊丸との出会い、親子へのあたたかいまなざし。
横柄な医師の魂に火をつけ、医師の本分に目覚めさせるエピソード。
渋滞の中で出逢う少女・晴菜ちゃんとの再会、そして大どんでん返し。
旅は人を成長させ、夕夏も大きく成長を遂げる。
浜浦もまた、長い間の呪縛から解放されていく。
途中、城ヶ崎海岸で出逢った若い人気コミック作家真木しずるに与えた影響。
浜浦、夕夏の過去と悩みがしだいに明らかになる。

高利貸しとのやりとり。晴菜ちゃんとの再会、大どんでん返しがやってくる。
いくつもの幸せの種が、大きく実って返ってきたのであった。
浜浦も夕夏も、返ってきたその幸せの大きな実で救われ、キャンカーも救うことができた。

旅は人を成長させる。夕夏も成長した。浜浦も長い間の呪縛から解放される。
最後はあの「幸せの黄色いハンカチ」のようなシーンで締めくくられた。

心が疲れていたら、ぜひ聴いてみて、読んでみてほしい。
心が洗われていくこと間違いなしだ。感動の嵐が襲ってくる。
こんな温かい世界が、現実の世の中にももっともっと拡がってほしいと、つくづく思う。


オーディオブックAudible

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この記事を書いた人

⼩宅 映⼠(おやけ えいじ)
趣味は、テニス、写真撮影、音楽鑑賞など

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